
便所ロワイヤル
眼鏡を新調した日、90%に達しそうな湿度で主務邸の便所のドアは膨張していた。もちろんドア枠も、だ。開け閉めのたびに「ガッ」とドアとドア枠がぶつかり、インパクトの前にもゴゴゴゴと木の擦れる抵抗があった
もし便所のドアが開閉できない程に湿気を含んだらどうなるか。ひとたび不安に感ずればおちおち用も足せない。すなわち便所に便所自身によって監禁される可能性があるのだ。恐ろしい。
逆を考えよう。便所が便所自身によって閉じこもってしまう場合。これは風呂場がある。歴とした水洗便所である。ウォシュレットも付いてある。最高の環境だ。
最悪の環境が便所幽閉だ。しかし待て。用はいくらでも足せる。出し放題だ。
ヒトは7日間は水のみで生存可能という風に作られている。割り切れば飲み水の心配はない。空腹時にはとりあえず便所紙でも食っとけ。茶腹もっときにかけて便所紙もいっときという格言すらも浮かぼう。汗ばんだらボディシートがある。しかも居住空間の掃除にも使用でき清拭清掃後には流せるのだ。何ならFFの怪鳥チョコボの鳴き声を「クイッ、クイックル~」にしてもいい。実際そのように鳴いている。洗濯だってできる。洗剤も強力なのがあるし水もため洗いに困らない量が確保されている。タオルもあるので入浴も可能だろう。
もういっそ便所で暮らしてもいいんじゃないかという思いが首をもたげたが、あろうことか煙草がない。便所は禁煙である。それが便所のあるべき姿であり、便所で新聞雑誌書籍の類は持ち込んではならず、いわんや一服吹かすだなんて外道の極みである。便所は一気呵成に用を足し、具体的には排尿の終了時には脱糞し終えてなくてはならぬ。便所喫煙はわたしのポリシーに反する。
よって結論。
便所に監禁されたら大人しく押し開けましょう。

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